歯科矯正用語解説
オーバーバイト(overbite)
通常, 前歯の被蓋の深さについていう. 咬合平面に直角の方向への深さをはかることが多いが, セファログラム上では, nasal floor(ANS-PNS,つまり maxillary plane)や眼耳平面, N-S平面などに直角にはかることもある. 単位を㎜で表わしたり, 対合歯を被う程度を歯冠高の割合で表わしたりする. ほぼ0.5㎜~4.5㎜, あるいは下顎中切歯の1/2までを被蓋するものを正常とする.深いものを過蓋咬合, 切縁の接するものを切端咬合, 上下の被覆のないものを開咬(マイナスの値で表わす)という.
オーバージェット(overjet)
前歯の水平方向の突出程度をいう. 咬合平面に平行に計ることが多いが,オーバーバイトと同様, nasal floorや, 眼耳平面, N-S平面に平行に計られることもある.
6㎜以上オーバージェットのあるものを上顎前突, マイナスのオーバージェットのものを反対咬合,または下顎前突という.
叢生歯列(crowding)
1歯あるいは数歯にわたって転位や捻転を起こし、重なり合って生えている状態
捻転(rotation)
位置の異常ではなく状態の異常というもので、歯の長軸を中心に回転した状態
上顎劣成長
上顎骨の成長が遅れ、上顎骨の位置が正常位置より後方にある。
下顎前突
上下顎前歯の咬合関係が正常とまったく反対になっているもので通常、反対咬合といわれているものの総称(骨格性下顎前突、機能性下顎前突、歯性下顎前突がある)
骨格性下顎前突(下顎過成長)
上顎骨の後退(劣成長)、下顎骨の前方(過成長)などの骨格性の要因により下顎が突出しているもの。
反っ歯と出っ歯
上顎が正常位置あるいはそれより後方にあり、前歯だけが前に出ている状態を反っ歯という。
上顎が正常位置より前にあり、前歯が前に出ている状態を出っ歯という。
開咬
萌出完了時、中心咬合位で連続して2歯以上の歯が低位にあり、上下の歯が接触していない状態。
交叉咬合
顎全体が側方に偏位しているものと、臼歯部の片側のみが側方的に逆に咬合しているものがある。
過蓋咬合(かがいこうごう)
下の前歯がほとんど見えないほど上の前歯が深く覆っているような不正咬合のこと。
混合歯列 (mix dentition)
乳歯と永久歯との交換は6~11歳ごろ行われる。この時期には乳歯と永久歯が同時に存在し混合歯列と呼ばれる。
この時期は不正咬合が比較的顕在化しやすく、矯正治療上きわめて重要である。
歯列弓の長径と幅径
中切歯唇面から左右側、第一大臼歯の遠心面を結ぶ線までの距離を歯列弓の長径という。
左右側第一小臼歯の頬側咬頭頂間の距離を歯列弓の幅径という。
矯正力の作用(部)と反作用(部)
矯正臨床上で動かしたい歯(歯群)と動かしたくない歯(歯群)がある。
動かしたい歯を作用部または歯牙移動部とよび、動かしたくない歯を反作用部または固定部と名付けている。作用と反作用はその力が等しく、そして反対方向である。
DBS装置(ダイレクトボンディング法)
エッジワイズ装置とも呼ばれる。最終的にアイデアルアーチと呼ばれる角型のアーチワイヤにより理想的な歯列形態、歯軸傾斜、咬合状態を獲得しようという治療方法。
トルク (torque)
歯軸の調節を行うこと。
傾斜移動 (tipping)
歯冠の1点に力を加えるとその歯は歯根の1点を回転中心として傾斜する。
歯体移動 (bodily movement)
歯冠に面で力を加えると歯軸の方向に平行移動させるような移動様式
顎関節症
開口障害、開口時の下顎変位、顎関節音、顎関節疼痛、筋の疼痛などが主症状である。そして顎関節症(咬合不全)は身体的にさまざまな影響を与える。
早期接触
下顎安静位から咬合位に至る下顎の運動路を閉口路という。
不正咬合者の閉口路はしばしば咬合干渉によって前方、後方、側方に偏位する。
閉口路を妨げ下顎を滑走させるような上下顎の歯の初期接触を早期接触という。
咬頭干渉
下顎を偏心(前方、側方、後方)させたとき、その機能的運動を妨げるような歯の接触。
低位舌
舌が口蓋に接触できず、下顎歯列内の低い位置に充満している場合をいう。
マクナマラ分析(macnamara analysis)
マクナマララインはナシオン(N点)を通りフランクフルト平面に対して垂直な線である。
一般的には上顎骨(A点)はこの垂線上、あるいはそれより前方に位置するのが正常とされている。
セットアップモデル(予測模型)(set model)
矯正治療に先立ち、患者自身の歯型をばらばらにして治療後の歯列の状態を再構築した模型のこと。
ガミースマイル(gummy smile)
笑ったときに上顎の歯肉が見えてしまう状態をいう。
過剰歯
歯を形作る歯胚(しはい)が過剰に形成されたり、一個の歯胚が分裂する事で歯が正常な数より多く作られることがある。これを過剰歯という。
埋伏歯
歯は時期が来ると決まった場所に生えるが、その時期を過ぎても顎の骨の中や歯茎の下に埋まったままの状態の歯を埋伏歯という。
癒着歯
2本以上の歯がセメント質で結合している歯のこと。
癒合歯
2本以上の歯が象牙質とエナメル質で結合している歯のこと。
矮小歯(わいしょうし)
歯の形態異常。通常の大きさに比べて小さな歯のこと。
歯列
上の歯と下の歯が歯茎の上に並んでいる状態のこと。
歯列弓
前歯の先端から奥歯(臼歯)の外側にかけて馬蹄形を描いている曲線のこと。
可撤式装置
取り外しができる装置。
ナイトガード (night guard)
歯軋りによる歯や顎への負担を防ぐために睡眠中にはめるマウスピースのような装置。
パノラマX線 (paranama x ray)
口全体を一枚、もしくは2枚のX線フィルムに撮影するX線(レントゲン)機器。
ブラックトライアングル(black lineangle)
歯と歯の間の歯肉が下がり、前歯などに見られる三角形の隙間のこと。
歯根吸収
顎の中で歯の根が本来あった長さより短くなってくる事。
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